1.目的等
   住宅ローンその他の債務を抱えて経済的に窮境にある個人債務者について、裁判所の監督のもと将来の収入等を弁済原資として債務の一部を弁済する代わりに、残債務を免除してもらうことで破産を回避し、経済生活の再生を簡易迅速に図るための個人版の民事再生法の特則が、平成13年 4月 1日から施行されております。

2.種類
   個人版の民事再生の手続には、以下の 2種類があります。
  (1)小規模個人再生手続
  (2)給与所得者個人再生手続

3.小規模個人再生手続き概要
 
1 手続開始の要件
  債務者が小売商店や農家などの継続的な収入の見込みがある個人で かつ、開始決定までの再生債権の総額が金 5,000万円以下(但し、住宅ローン等を除いた額)である場合には申し立てることができます。
2 再生計画認可の要件
 
(1)  債権者の一般の利益に反しないこと(弁済額が破産手続による場合より多いこと)
(2)  住宅ローン等を除く基準債権額が5,000万円を超えないこと
(3)  最低弁済額は、債権額が3,000万円以下の場合は、基準債務総額の20%(但し、上限300万円、下限100万円)を下回らないこと。債権額が3,000万円を超える場合は、基準債務総額の10%を下回らないこと。 など

   以上の要件を満たした再生計画案は、再生債権者による書面決議で是非が問われることになります。その際、再生計画案の可決要件は、再生計画に同意しない旨を書面で回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず、かつその議決権の数が議決権者の議決権の総額の2分の1を超えないことが必要です(消極的同意)。
 債権者数と債権額の双方の要件を満たさなくてはなりませんので、1人でも2分の1を超える大口債権者がいれば事前に事情を説明し、その内諾を受けておくほうがよいでしょう。
可決された場合であって、他の不認可事由がない限り再生計画は認可されます。

4.給与所得者再生手続きの概要
 
1 手続き開始の要件
  (1) この制度は、主としてサラリーマンを対象としており、開始決定まで再生債権の総額が5,000万円以下(但し、住宅ローンを除いた額)であり、
(2)債務者が給与等の定期的な収入を得る見込みがあるものであって、かつ(3)その額の変動の幅が小さい(年収の変動の幅が5分の1未満程度)と見込まれる場合は、この手続を使うことができます。 しかし、過去10年内に免責決定等を得ていたり、可処分所得に基づく最低弁済額要件があったりと、この手続を利用できない場合もあります。そして、再生計画に基づく弁済期間は、原則3年、最長でも5年になります。
2 再生計画認可の要件
 
(1)  債権者の一般の利益に反しないこと (弁済額が破産手続による場合より多いこと)
(2)  住宅ローン等を除く基準債権額が5,000万円を超えないこと
(3)  「給与所得者等」に該当すること
(4)  最低弁済額が債権額が3,000万円以下の場合は基準債務総額の20%(但し、上限300万円、下限100万円)以上、債権額が3,000万円を超える場合は、基準債務総額の10%以上、かつ可処分所得の2年分相当額以上であること など。

5.住宅資金貸付債権に関する特則
 
1 住宅資金貸付債権とは
   個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物(床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されているもの)の建設、購入、改良に必要な資金の貸付にかかる分割払いの定めのある再生債権であって、その債権またはその債権に係る債務の保証人(保証を業とする者に限り)の求償権を担保するための抵当権等が当該住宅に設定されているものをいいます。
2 手続きの有効性
  住宅貸付債権は上記各再生手続きの 5,000万円の債務額の総額制限の枠外であります。
また、再生計画案中の住宅資金特別条項については、住宅貸付債権者(銀行等)や保証会社の原則的には同意を必要としません。しかしながら、実務上は、事前に折衝し、同意を得るケースも多いようです。
3 手続き利用上の留意点
  この手続きを利用するには以下のような点に留意する必要があります。
 
(1) 弁済期間の延長には、70歳の年齢制限があり、それ以上の延長には債権者の同意が必要となること。
(2) 再生計画認可決定の確定までの期間の利息、損害金を負担する必要があること。すなわち、再生債務者が手続開始決定を受けると、再生債権の弁済が禁止されることとなり、遅延損害金が発生することとなり、結局、再生計画認可決定の確定までの利息、損害金を負担しなければならなくなること。
(3) 開始決定は官報公告されることから、信用情報機関の信用情報に登載され、一定期間の与信が困難となること。
(4) 元利均等払い方式の利息計算が複雑であることから、利息計算につき金融機関の協力が必要となること。
(5) 住宅資金特別条項を申立書に記載した場合は、その後に方針を変更することはできないこと。

6 個人民事再生手続はどのような人が利用できるのか
   (1)将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがある場合で、且つ、(2)再生債権の総額が金 5,000万円(但し、住宅ローン等除いた額)を超えない人が利用することができることになります。